上海博物館 2006 北京故宮博物院との合同古書画展の感想 
(上)は上海博物館所蔵品(故は)北京故宮博物所蔵品でレンタルしてきたもの。
- 
2   西魏  惠襲       行書法華經文外義卷(上)普通の敦こう本
 - 4   唐    馮承素     行書 蘭亭序帖卷(故)唐 中期の模写か? 非常に保存が良いようにみえる。罫線あとも、すき目もない。平安初期の写経文書紙に似たような感じ。やや微褐色の精緻な紙。 神龍印は年号ではないかもしれない。
 - 5   唐    teki遷       小楷妙法蓮華經卷第三(上)
普通の敦こう本
 - 6   唐    佚名       黄庭經卷(故)
濃墨。剥落あり。黄紙。
 - 7   唐    韓滉       文苑圖卷(故)
NG, しかし、思ったほど最悪ではない。かなり古い。
 - 8   五代  佚名       閘口盤車圖卷(上)東京・上海で既見、年代は無茶だが、そう悪くない画
 - 9   五代  佚名       星相仕女圖卷(上)
  遼時代の出土品のような断片。芸術的価値があるのか?
 - 
10  宋    李建中     行書貴宅帖頁(故)
良品。台北の土母帖に近い。
 - 11  宋    范仲淹     楷書道服贊卷(故)
意外に良い。紙高が高い。
 - 
12  宋    歐陽脩     行書灼艾帖卷(故)
 疑問?
 - 
13  宋    蔡襄       行書自書詩卷(故)
 やや疑問あり。
 - 
14  宋    黄庭堅     草書諸上座帖卷(故)
 これが、藤井有りん館の李白憶旧遊詩巻と同じ書者の作品とは信じられない。筆画に弱々しさを感じる。また、最後の行書部分も他の黄書より劣る。全体に文字をつめこみすぎているような感じがある。 空画というか字と字の間の筆の動きが理解できない。薄い褐色の滑らかで、繊維がめだたない紙。竹紙か?。北宋時代より下るように思う。臨本だろう。
 - 
15  宋    黄庭堅     行書華嚴經疏卷(上)
 痛みと修理、補墨がひどすぎて残骸のような状態。
 - 
16  宋    王セン       行書自書詩詞帖卷(故)
 普通。
 - 
17  宋    王セン       煙江疊嶂圖卷(上)
 2002年にも観たが、 意外と良い。これは、有名な大型の画巻のほうではなく、高さの低い細い画巻。絹本墨画。
 - 
18  宋    米フツ       行書メイ溪詩卷(故)
  もともとハルビンの青年が北京栄宝斎にもってきた古書画断片の山から復元したものなので、修理が多いのはやむをえないが、字画そのものに補墨がおこなわれているようで、字画そのものの立体性が失われているようにみえるのが、残念。墨の風化がまるでなく、筆画の破損がない。
 一方、修理の巧妙さはたいしたもので、補紙破れのあとを確認できなかった。
 - 
19  宋    米フツ       行書參政帖頁(上)
  模写か?
 - 
20  宋    薛紹彭     行書大年帖頁(故)
  普通
 - 
21  宋    趙佶       楷書閏中秋月帖頁(故)
  台北の嵯峨萬刃帖と並ぶ佳作。ただし汚れが多い。満州で被害を受けたのだろうか?
 - 
22  宋    趙佶       雪江歸棹圖卷(故)
 つまらない作品。
 - 
23  宋    米友仁     瀟湘奇觀圖卷(故)
この米友仁跋は剥落がひどいが真跡だと思う。画のほうは模写ではないか?画のほうが前なのに全く剥落がない。同じ画卷でなぜこのようなことがおこるのか。樹叢の描写も粗っぽい。画の紙高が5-10mmぐらい跋より低いのは上海の画巻と同様、下端に白い帯状の余白があったからだろう。ただ、この画はあまりできのよくない模写だと思う。
 こうしてみると、上海の雲山図巻は、痛んでるとはいえ、希な佳作だし、台北の雲山白雲図巻も再評価の価値は充分にありそうだ。今回、上海博物館がなぜ「雲山図巻」を展示しなかったのか疑問だ。
 - 
24  宋    艷艷女史   花鳥草蟲圖卷(上)
  宋ではないが、明ぐらいの古画。単なる間違い。
 - 
25  宋    揚無咎     四梅圖卷(故)
  宋の画かもしれないが、それほど傑作とはいえない。
 - 
26  宋    趙構       臨虞世南真草千字文卷(上)
 おもったより暗い絹だ。また、絹高が低い。
 - 
27  宋    馬和之     後赤壁賦圖卷(故)
  模写だろう。残念。有リン館本、遼寧本と比べて、描写技術が劣り、人物の服装に品がない。
 - 
28  宋    趙伯駒     萬松金闕圖卷(故)
  明代の画だろう。
 - 
29  宋    陸游       行書自書詩卷(故)
NC
 - 
30  宋    范成大     行書中流一壺帖(故)
 青い紙で、珍しい。
 - 
31  宋    朱熹       行書城南唱和詩卷(故)
  本当に朱子の書か、同類がないので疑問。
 - 
32  金    張珪       神龜圖卷(故)
 どうでもいい。
 - 
33  宋    辛棄疾     行書去國帖頁(故)
  NC
 - 
34  宋    劉松年     四景山水圖卷(故)
 清代 袁派の作品。
 - 
35  宋    馬遠       踏歌圖軸(故)
  明代浙派以降の模倣品。建物の描写が拙劣。
 - 
36  宋    馬遠       寒山子像圖頁(故)
  日本の高僧像より下手。
 - 
37  宋    夏圭       梧竹溪堂圖頁(故)
NG
 - 
38  宋    陳居中     四羊圖頁(故)
 NG 台北の画冊の模写
 - 
39  宋    梁楷       雪棧行騎圖頁(故)
 NG
 - 
40  宋    姜キ       楷書保母帖題跋卷(故)
  精緻な小楷。清代かと思うくらい。
 - 
41  宋    李嵩       花籃圖頁(故)
 馬鹿馬鹿しい。
 - 
42  宋    李東       雪江賣魚圖頁(故)
関心なし
 - 
43  宋    何?       草堂客話圖頁(故)
関心なし
 - 
44  宋    陳清波     湖山春曉圖頁(故)
関心なし
 - 
45  宋    佚名       仙女乘鸞圖頁(故)
  かなり薄くなっている。まあまあ。
 - 
46  宋    呉据       行書五段卷(上)
  良品。既見。
 - 
47  宋    趙葵       杜甫詩意圖卷(上)
  既見。宋?
 - 
48  宋    張即之     行書待漏院記卷(上)
  面白い作品。文も珍しい。
 - 
49  宋    趙孟堅     行書自書詩卷(上)
???
 - 
50  宋    趙孟堅     墨蘭圖卷(故)
  南宋末期の珍品。
淡泊で完全なつけたて。左の題記は蘭の葉にかかっているが、ちょっと変わった書風で自然。精緻な画風の水仙の長巻などが、趙孟堅にアトリビュートされているが、むしろこちらのほうがふさわしいのではないだろうか?
墨蘭としているが、顔料、染料が混じった墨のようで、淡彩という感じがする。普通の墨蘭ではない。
 - 
51  宋    陳容       墨龍圖卷(故)
 NG ネルソンアトキンス所蔵作品もとにしたコピーの断片。
 - 
52  宋    佚名       西湖圖卷(上)
 既見。あまり興味なし。
 - 
53  宋    佚名       人物故事圖卷(上)
NC
 - 
54  宋    佚名       蓮社圖卷(上)
 できのよくない模写。
 人物景物が単に並んでいるだけ。
 - 
55  宋    佚名       洛神賦圖卷(故)
駄作、元時代以降。
 - 
56  宋    佚名       晩景圖軸(上)
 元時代以降の山水画断片。そう悪くない。 
 - 
57  宋    文天祥     行書上宏齋帖卷(故)
  NC
 - 
58  元    錢選       八花圖卷(故)
  なかなか面白い。カビの斑点が後半にめだつ。淡彩で上品、しかも奇妙なリアリズムがある。
  微灰色の上質な紙。紙高も高い。末尾の 題記も同じ紙の上にある。
未見だが、David卿旧蔵でメトロポリタンにある花の画巻も同様のもののように感じた。
 - 
59  元    溥光       草書石頭和尚草庵歌卷(上) 
 大阪で既見。関心なし。
 - 
60  元    顏輝       李仙圖軸(故)
  やや、顔が近代的な感じがする。
 - 
61  元    趙孟フ     蘭石圖軸(上)
褐色の絹に濃墨。 並
 - 
62  元    趙孟フ     幽篁戴勝圖卷(故)
 馬鹿げている。
 - 
63  元    趙孟フ     山水三段卷(上)
 いいかげんにしろ。
 - 
64  元    趙孟フ     行書十札卷(上)
東京で既見。良品。
 - 
65  元    任仁發     張果見明皇圖卷(故)
台北にある、五代 周文クあたりとされる偽作と雰囲気が似ている。明代後期の偽作か??
 - 
69  元    管道升     行書秋深帖頁(故)
趙孟フ とそっくり。
 - 
66  元    馮子振     行書虹月樓記卷(上)
NC
 - 
67  元    ケ文原     章草急就章卷(故)
 良品。
 - 
68  元    袁易       行書錢塘雜詩卷(上)
NC
 - 
70  元    黄公望     丹崖玉樹圖軸(故)
レプリカか模写。紙は白紙。
 - 
71  元    曹知白     寒林圖頁(故)regular
割といいかもしれない。印も悪くない。少し修理がめだつような気もする。
 - 
72  元    呉鎮       漁父圖軸(故)
NG。縮小コピーか??
ただ、雲林にもこういう小型の軸物があるから、特定の用途に答えたものかもしれない。いずれにせよ駄作。
 - 
73  元    呉鎮       竹譜圖卷(上)
偽作か、ひどく出来の悪い臨写。 いいかげんにしろ。
 - 
74  元    李 ?  枯木竹石圖軸(上)
 駄作。
 - 
75  元    王冕       梅花圖卷(上)
 小品のほうがいい。忠実な模写か?
 - 
76  元    柯九思     雙竹圖軸(上)
 駄作。
 - 
77  元    張渥       九歌圖卷(上)
クリーブランド本のほうが良い。
 - 
78  元    商g       春山圖卷(故)
    そう悪い絵じゃないが、いったい元時代の絵なんだろうか??
 - 
79  元    王振鵬     伯牙鼓琴圖卷(故)
  良品  主に墨で描いている。ただ、ボストンのkaritei母図巻のような白描線を誇示した作品ではなく、普通の人物画。王振鵬にしては、ちょっと普通すぎるという感じはする。
 - 
80  元    華祖立     玄門十子圖卷(上)
 新しい。
 - 
81  元    王淵       桃竹錦?圖軸(故)leasas
  東博の上海博物館展にきた花鳥のほうが良い。やや遜色あり。
 - 
82  元    趙雍       挾彈游騎圖軸(故)
  臨写本だろう。台北故宮のと違いすぎ
 - 
83  元    趙雍等     五家合繪圖卷(故)
             趙雍    松溪釣艇圖
偽作。
             王冕    梅花圖
小品ながら、良品。
             朱コ潤  松溪放艇圖
         渾淪圖卷とよく似ている。
             張觀    疏林茅屋圖
?
             方從義  山水圖
偽款か偽作
 - 
84  元    李升       澱湖送別圖卷(上)
呉派に似ている気もするが、良品。確か類似の作品がもうひとつあったと思う。ケーヒルの江山四季にあった。
 - 
85  元    朱コ潤     渾淪圖卷(上)
 並
 - 
86  元    康里山キ     草書張旭筆法卷(故)
  結構いい。元気の良い作品
 - 
87  元    楊維     行書真鏡庵募疏卷(上)
  既見
 - 
88  元    呉叡       篆隸書卷(上)
  並
 - 
89  元    張中       芙蓉鴦鴛圖軸(上)
  2流
 - 
90  元    盛懋       坐看雲起圖頁(故)
NG
 - 
91  元    盛懋       秋林放艇圖頁(故)
NG
 - 
92  元    盛懋       秋歌清嘯圖軸(上)
写真図版よりずっと暗い絵。やや粗放な感じがする。
 - 
93  元    倪サン       六君子圖軸(上)
  駄作コピー
 - 
94  元    王蒙       夏山高隱圖軸(故)
  模写。あまりうまくない。
 - 
95  元    王蒙       春山讀書圖軸(上)
  臨本。
 - 
96  元    王繹 倪サン  楊竹西小像卷(故)
これは文句なく素晴らしい。
折り目のあとからすると、もと折り本になっていて、右端の文字部分が紙表紙になっていたようだ。この部分だけやけに汚れている。王繹の肖像画も線がきれいで良いが。 倪サンの松、岩は、実に素晴らしい。淡墨のデリケートな使い方で奇妙な質感をみせる描写は、台北の容膝斎図以外ではほとんどみることはできない。
倪サン の2行ほどの書があるが、斜めになっていて結構乱暴である。謹直でない倪サンの書を伴う倪サン画でも、無茶に下手な書でない限り疑う必要はないという論拠にもなった。
 - 
97  元    馬エン       暮雲詩意圖軸(上)
 模写
 - 
98  元    夏永       豐樂樓圖頁(故)
模写、93番と伴にフリーア本の 夏永 冊葉を再評価する必要がある。
 - 
99  元    夏永       滕王閣圖頁(上)
模写
 - 
100 元    張遠       瀟湘八景圖卷(上)
 明時代以降、ずーーと新しい。
 - 
101 元    趙元       樹石圖頁(故)
???
 - 
102 元    趙元       合溪草堂圖軸(上)
これは、珍しい佳作。微灰白紙 渇焦墨をうまく使ってかわいらしく無理のない作品を作っている。上部題記も同じ紙上にある。
 - 
103 元    方從義     雲山圖卷(上)
方從義の基準作がどうもとらえきれず、墨戯的なものが多いので、どこまで真作かはわかりかねる。