ヘルシーグルメ志羅山旅館と古代庭園:平泉

ヘルシーグルメ志羅山旅館と古代庭園:平泉


毛越寺の庭園、観自在王院庭園

観自在王院庭園 2004年6月26日、平泉にいく。平安末の保存のよい庭園遺構である毛越寺の庭園、観自在王院庭園をみにいくためである。 毛越寺庭園は古くから評判が高く森氏はここをみて庭園研究に志したとさえ書いている。  曇りときどき小雨の天候だったがなんとか鑑賞できた。一言でいうと近年発掘復元された観自在王院庭園(右イメージー>)には文句なく堪能したが、意外にも毛越寺庭園にはひかっかるところがあった。それは、なんといっても中の島が全部灰色の玉石で覆われているところ 毛越寺庭園 中之島 にある。なにか工事現場みたいな感じがして、感心しないのだ。森氏の著書によると発掘調査によって、玉石であることが発見されたのでもと草が生えていた島の表面を玉石で覆ったらしい。しかし、これはどうもあまり美しくない。真っ白なチャートでも使えばまだ映えると思う。しかし、各所の 石組や立石、遣り水は非凡であり、さすがにすばらしい。州浜 は穏やかで美しく、庭師のおばさんがメンタナンス作業しているところなど、神護寺の山水屏風そのままである。 中之島をメンテするか、橋をかけて島に華麗な小楼でもたてるかしないと、このあれた感じは拭いにくいと思う。

観自在王院跡の史跡公園は広大な芝生が広がり奈良公園や平城京跡のような好ましい空間を作っている。芝生の中に一直線の広い通路をいくと、実に優美な大和絵そのものの庭園がひろがるのが意表をついている。 ここは、「跡」といっても、池、石組とも復元され、遣り水からは小さな滝?が池に落ちている。この池の廻りをゆっくり廻ると対岸の州浜、と中之島が反映してまことに美しい、「輪カンの美」という言葉すら連想するほどだ。さらに各所にあるつつましい石組がアクセントをつけている。ただ、 観自在王院庭園 入り口の広い芝生、 観自在王院庭園2、 観自在王院庭園3、 水があまりきれいでなく濁っているのは、もと水田であったせいだろうか、もっともザリガニや魚がいるらしく、近くの5歳ぐらいの子供たちが魚すくいにきていて、なんとも郷愁をそそる平和な感じがする。同時に,こういう平和は守らなければならないという妙にパトリオットな感情がでてくるのは不思議である。戦中に奈良を訪ねた応召青年たちも似たような感慨をもったのだろうか?

志羅山旅館

志羅山旅館 http://croissan.hp.infoseek.co.jp/tohoku-7.htmlの旅行記で知って前日東京から電話予約していった。実は予約できなければ、平泉行きを中止しようかという賭けだった。 道を駅前の観光案内所で聞いていった。ほどよく、道路から入っていて静かなところである。廻りの住宅と変わらない平凡な建物だ。廻りには田圃も残っていて、夜はカジカの声が聞こえていた。お風呂は人工温泉のヘルストン温泉とのことで、湯質は弱アルカリ泉、そう特殊な湯ではないが気持ちがいい。ここは、風呂、トイレ共同だが、徹底的に清潔である。ただ、どうも客が私しかいないようで、ちょっと不安になった。
 ここの夕食がユニークですごい。鮎の焼き物、前沢牛の陶板焼き、馬刺しというのも魅力的だが、色々な葉っぱのてんぷら、茸の油炒め、よくわからない木の芽のおひたしなど、ハット汁という厚いワンタンのようなものがはいった野菜の多いホウトウのような汁ものなど、いづれもすごいと思う。なすの焼き物、豆腐田楽、スモークドサーモンワイン入りゼリーもあった。昔盛岡にいったとき「わんこそば」の格闘技のような食事にがっかりして岩手の料理には希望をもっていなかったが、こういういき方もあったのだ。 女将さんはいろいろな果実酒をつけているそうで、めくらぶどうともう一種「いたどり?」のものを試飲させてもらったが、「めくらぶどう」のが特においしかった。喉にいいそうだ。 お酒はぬる澗で4本も飲んでしまった。地酒の関山で、くせのない酒だ。 これで、シーズンオフとはいえ、一泊二食でめちゃ安だった。  古代庭園鑑賞のために滞在する人には絶好の宿ではないだろうか?(TEL 0191-46-2883, 平泉駅 徒歩7分)


翌日

2006・6・27 、志羅山旅館の朝食も夕食ほどではないが、こっていた。 「えごま」のたれで餅を食べるものがおもしろい。果物がメロンとさくらんぼがでた。さくらんぼはこちらの名産らしい。 丸くぬいた豆腐に青のりの粉がふってあるのがイイ。 納豆は既製品だが、その既製品のタレが「大根おろしのタレ」になっていたのが気になった。東京では:あまりみないタレだ。
さて、中尊寺にしようかと思ったが、よく考えたら、朝の光で庭園をみていない。青磁や建築や庭園は光線や天候によってみえかたがかなり変わるものだ。幸い天候が曇りときどき晴れぐらいに回復してきたので、まず、毛越寺庭園と 観自在王院庭園をさっと鑑賞した。明るい光のもとで 一段とよい。
毛越寺では、あやめ園でNHKが撮影をやっていた。家族連れに、「きれいにとりますから」といって協力を頼んでいた。やらせ半分であるがまあこれぐらいはいいんじゃないかなあ。 今日は「順路」に忠実に行って古い寺院の基壇を全部みることにした。昨日気がつかなかったが遣り水を池のほうからみると見事な曲水になっていて、流れのほとりにあやめがさいている。殆ど琳派の絵のようである。 中之島とその対岸の玉石は相変わらず気にくわない。どうみても護岸工事をやっている河川をみているようだ。あるいは冬になって雪がかかるとあるいは面白いのかもしれない。大きな石組をみていたとき、ちょっとその上の木が大きすぎるように思った。寺院基壇移籍の上に植えた杉も少し大きすぎてこのままでは基壇を破壊する可能性もあるように思う。木が大きすぎるので、その下の築山の形が隠れてしまうのだ。自然の山なら、それ相応の木が生えるのだが、縮小板の築山に自然のままの木を育てるのはかなり無理があるように思う。当初植えたときはそう感じないだろうが、ここは大胆な剪定が必要なように思った。
再び、観自在王院庭園へ行く。庭園入り口近くに烏が3匹いる。「我アルカディアにもあり」を思い出した。
天気がいいからか、3人の子供が中之島にかかる小さな橋で魚取りをしている。当然通れないので、ちょっと回る方向を逆にして、鑑賞する。全く比類のない名園 である。こちらは、近年までは水田であったところだから、あまり木が生えていず一面芝生なのがいたって好ましい。今日はスケッチ旅行の団体のようなおばさんたちが、ベンチに一人ずつすわってノートに何か書いている。

無量光院跡 はあくまで「跡」で、もとの水田のままである。みているとなんとなく池の形がみえるような感じがしたが、復元図をみると全く違っていて赤面した。