2004・4・16金にヤン ブリューゲルの花の絵「陶器に活けた花束」をみて、ブラッセルでの失望を思い出した。東京都美術館のウィーン美術史美術館(Kunsthistorisches Museum Wien)からのレンタル展である。ヤンは花の絵の大家として有名だが、本当に感激する花の絵を一度も観たことがない。この作品も、花の絵としては、迫真力に欠ける。同じ上野の西洋美術館に常設展示されている弟子のセーヘルスの作品のほうが遙かに素晴らしい。色が薄くて光沢が無く、質感にも乏しい。陶器の壺もテニエルスのほうが上手いと思うくらいだ。ヤン=ブリューゲルは「花のブリューゲル」とまでいわれているのに、その名声にふさわしい作品はないのだろうか?と長年疑問に思ってきた。
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ヤン ブリューゲルの花の絵の図版
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以前は、「日本に巡回する展覧会には傑作は貸し出さないので、観ることができないが、ヨーロッパの大美術館にはあるのだろう。」と思っていた。2001年ロッテルダムのボス展を観に欧州へいったとき、ブラッセル王立美術館を訪ねた。そこで、森洋子さんが絶賛していた[黄金盃/花/金貨のある静物]http://www.kfki.hu/~arthp/html/b/bruegel/jan_e/flowers/goldenta.htmlを観て、これはおかしい、この程度じゃ、Daniel Seghersのほうが上じゃないか?こんなはずはない、と混乱した。
ハーグのモーリッツハイス美術館でみた「壺の花束」も壺はともかく、花はたいしたことがない。ここで、私は「ヤンの花の絵の傑作は存在するのだろうか?」と疑い始めた。
少なくともセーヘルス、ヘーム、アールストなどの花の作品を凌駕するような作品は観ていない。これは奇妙なことである。むしろ、人物風景画、動物画などに特色のある作品が多く残っていると思う。たとえば、ハーグの「楽園の中のアダムとイブ」(ルーベンスとの合作)http://www.mauritshuis.nl/english/collectie/historiestukken/art/brueghel_rubens.jpg はいい作品だ。
また、右上にデテェールをあげた2002年に西洋美術館が購入した風景画も悪くない。
しかし、記録によれば、当時、ヤンの花の絵はとても高価であり、高く評価されていたらしい。
それなのに、それを裏付ける作品がみあたらない。
なぜだろうか? 考えられる原因として、