焼失したとされた、 岳飛にあてた宋皇帝の勅書 の図版を紹介する。
画像をクリックすると拡大図版が別ウィンドウで提示されます。
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1950年代に、東京の台湾人古美術商、林朗庵が
出版した複製には重要なものが多い。
そのなかで、
岳飛にあてた南宋皇帝 高宗の書は、
満州国が崩壊し、ラストエンペラーコレクションが散逸したあと、日本に
流出したものである。
大陸の記録では、奉天で焼失したことになっている。
[ref. 楊 512p]
もと清朝宮廷コレクションであり、官選目録「石キョウ寶笈三編」に
著禄されているが、宮廷に入ったのがかなり後だったせいか、三希堂法帖には収録されず、
台湾の蘭千山館:林柏寿氏(故人)の所蔵になり、その後相続人がもっていて、現在は故宮博物院に寄託されているらしい。
カラー図版もないので、
実物にあたって検証することはできない。
ただ、この南宋美術特別展に行った友人の話では、二点が並べて展示されていたそうだ。
http://www.npm.gov.tw/exh99/southernsong/index.html
いまだに、ろくな写真もネットにも本にもない。
重要なものだと思うので、モノクロ複製から制作した図版をあげておく。
岳飛にあてた南宋皇帝 高宗の書は、もう1通あって、こちらは
台北故宮博物院所に蔵され、「故宮法書」にも影印されている。
これと、形式がまったく同じ。書風も同じである。